個人的な理想を体現してくれたような端末が出てきました。これを発売したメーカーに拍手。ぜひとも売れて欲しいです。で、この手の製品が増えてくれることに期待。『やっぱ、だめだった』なんてことになってほしくないのです。この製品のニッチさえちゃんと把握してれば、ユーザーはとても幸せになれると思います。一方、多くのモバイル製品がそうであるように、製品の性格を誤解してしまうと、不幸になるでしょう(パソコンのような"全部入り"な機械ではないので)。
--
今回は、こうした製品が出たことの喜びもあり、普段から思っている個人的なモバイル観を語ります。長いです。
--
ポメラの特徴をまとめるならば、
・座れさえすれば、快適なテキスト入力が可能。
・安い。
この二つ。このポイントさえ掴めていれば、幸せになれると思います。
モバイルマシンに対する欲求はひとそれぞれです。軽く小さくというニーズは昔からよくあるのですが、小さなキーボードというのはかなりうちにくく、実際に使ってみるとそんなに快適ではありません。キーボードの快適さを求めて大きなキーボードにすると、現在のノートパソコン様の形をとるかぎり、画面も一緒に大きくなるので、おのずと重くなります。
で、ここには二つの異なるニーズと解決法があるのですよね。ひとつは「より軽く」というもの。もうひとつは、「より小さく」というものです。通常のノートパソコンの形態を維持するかぎり、ひとつの答えはMacBook AirやX300のような方向性。つまり、薄く・軽く・でもキーボードと画面は大きく快適にというもの。もう一つは流行りのネットブックのように、「出来るだけ小さく」というもの。どの程度の小ささまで耐えられるかは、ユーザー次第かと思います。
前者派か後者派かは、鞄の中でのノートパソコンの位置づけや、普段持ち歩いてもよいと思える重さなどによるでしょう。ちなみに私は前者派。
ともかく、キーボードの快適さにはある程度の大きさのキーボードが必要になっちゃうわけです。でも、必要最小限の大きさの画面が、キーボードの面積と同じかというと、そんなことはなく、けっこう小さくても大丈夫だったりします。
それを体現したのが、今回の製品でしょう。以前、海外のモデルで似たようなコンセプト製品があったように思いますが、まさかキングジムから出てくるとは思いませんでした。
--
今回のような「小さな画面+大きなキーボード」という使い方を、今までの製品で不可能だったのかというと、そんなことはなく、PDA(or スマホ) + 外付けキーボードという方法がありました。今回の製品はこのコンセプトに近いと思います。
ただ、PDA + 外付けキーボードの場合、本体とキーボードの接続(有線 or 無線)といったセットアップのアクション数が多いので、それがきっかけて使用頻度が下がる人もいたと思います。こうした点からも、今回の ポメラ のコンセプト — キーボードと画面が一体型 — というのは好感が持てますし、武器でもあります。
今回のポメラは、テキスト入力専用。しかも机上での入力専用。ここの認識が大事だと思う。キーボードを開かなければ何もできないのですから(タッチパネルですらない)。
私、以前、stowawayの折り畳みキーボード + PDA(Palm)を使っていたのですが、すっかり使わなくなってしまいました。理由は、
・stawawayの4段キーボード&数字や特殊文字が変則的なキーコンビネーションでの入力だったことに慣れられなかった。
・電車の中など座っているときに、膝の上で使えなかったため、使用する状況がかぎられた。使いたくても使えないことがあった。
というのが理由です。でもポメラは5段で標準的なキー配列で、ディスプレイ一体型。これが偉い。このキーボードなら許容できる人は多数いると思いますし、じっくり落ちつて座って使える環境なら、ちゃんと使えます。
最初、ポメラ発表の記事を読んで一番気になったのは「起動に2秒もかかる」ことと「バックライトがないこと」でした。PDAやらモバイルノートパソコンやらを使ってきた方は、実感されていると思いますが、2秒ってかなり長いですよね。
でも、よくよく考えると、立ったまま使えるわけでもない・机の上でしか使えない製品なのですから、使用開始までの時間は大した問題ではないと思いなおしました。想像してみると、ポメラ、使うまで結構時間がかかる機械です。机に座り、折り畳まれたキーボードを展開し、電源を入れて...というステップです。長いです。でも、机にしっかり座れるシュチュエーションを想像してみると、例えば会議とかでしょうか。それならば、これくらいの準備時間は十分にありますから、実用上、問題にならないと思います。
急いでテキスト入力が必要なのは、大抵、立ったまま入力ってときが多いです。それならば、親指両手打ちができる機械(ザウルスや、QUARTYキーボード付きのPDAやスマホ)を使用したほうがよいでしょう(個人的には、キーボード付きPalmが最強。待ち時間0で、もっさりもしませんから)。
1ファイルあたり8000字制限というのも、実用上、問題にならないように思います。会議中の議事録など、どんどんメモを取る場合でも、会議の区切りがよいところまでに8000字に到達してしまう状況は、めったに起こらないのではないでしょうか。一方、1人で原稿を書いているときなどは、ファイル切り替えする時間は自分で調整できるので問題にならないでしょうし。
この"机の上で使用するテキスト入力専用機"が"入手しやすい価格"で、買えるのだと捉えることで、個人的にはとても納得がいきました。
重さや大きさを気にする人もいるでしょうけれど、それについても、PDA+外付けキーボードの場合の大きさと重さと値段を考えれば、及第点だと思います。
一方、メーカーによる製品の宣伝にはちょっと疑問を持ちました。損をしているように思います。『2秒で起動』とか、『バッテリーのもち』とかが強調されている気がします。これらは、一昔前のノートパソコンならいざ知らず、今はLet'sノートのように長時間のバッテリー駆動可能な製品はたくさんありますし、使用可能になるまでの素早さについてはパソコンの方が圧倒的に有利でしょう。スリープで持ち歩いているノートパソコンならば、鞄から出して、ディスプレイを開くだけで一瞬で使えますから(電源を落として持ち歩いている人は運用上の問題)。素早さではポメラの方が圧倒的に不利です。
でも、そうじゃなくて、鞄じゃなくて、胸ポケットあたりからさっと出して、座ってさえいればどこでも長文を素早く入力できる。この環境を気軽に持ち歩けることが、この製品の良いところでしょう。
(個人的には、多少重くなっても、高い価格でも良いので、こういうコンセプト(ミニ画面+でかいキーボード)のパソコンが欲しいとずっと思っています。どこかだしてくれないかな。売れないだろうけど)。
惜しいのは、1)バックライト非内蔵であること。2)日本語キーボードであること。3)SDHC規格に非対応であること。
プレゼン会場などでの使用を考えると、1がないのはまずかったと思います。テキスト専用機なのに、それをバリバリ使う状況をフォローしていないのでは意味がありません。2は私の好みと慣れの問題なので、あきらめています。国内で数を売るのであれば、日本語キーボードで当然と思いますから、仕方ありません。3への懸念は幾霜さんのご指摘と全く同感です。
個人的には対抗馬は、リュウドの携帯電話用外付けキーボード"Rboard"など、携帯電話用のキーボードだと思っています。携帯電話はだれでも持っているでしょうし、追加投資で1万円ちょっとですみます。セットアップアクション数がポメラよりちょっと多いし、膝の上では使えないし、ケータイの機種によってはもっさり&ATOK2007よりはかしこくないでしょうけど。でも、携帯は毎日充電するだろうから、電池の心配ないし、長文のメモだけでなく、メールも打てちゃいますよね。英語キーボードもあるし。
ポストイットを内蔵したポメラの専用ケースにも好感が持てます。私もPDAの裏に貼ってました。全部をデジタル化するのって難しいのですよね。紙とペンは必須です。
繰り返しになりますが、
・座れさえすれば、快適なテキスト入力が可能。
・安い。
この二つが、この製品の特徴でしょう。このポイントさえ掴めていれば、幸せになれると思います。
最近のコメント